は?ザクレロかっこええやろ

通学時間が暇すぎて

READY PLAYER ONE 雑感

日本に生まれて良かったと思わされ悔しかった

 

 やっと話題作のREADY PLAYER ONEを視聴してきました.

個人的な話ですが大学の映画サークルに入ったので,多少は映画観て思ったことを書いてかないとなと思ったのでダラダラと.あと見出し文がやべー奴になってますが,あれが僕にとってのこの映画を観て思ったことの最終形です.ちなみに危ない思想を持っているわけではないんで,もし身構えた人は戦闘態勢を崩してください.

 さて,この映画はオタクが撮ったオタクのための映画みたいに語られますが,大体はそうです.ただしオタクしか楽しめないかというと,そうではなくポップカルチャー全般からオマージュされており,一般人(オタクの対義語としてふさわしいんですかね)でも元ネタがわかるオマージュ元でいっぱいです.「ガンダム」という単語を聞いてどんなコンテンツか全く想像がつかない人よりは,少しでもピンと来る人のほうが多いですよね.そんなこんなで非オタク(こっちの方が適切そう)もオタクもニッコニコで視聴できるのがこのレディプレイヤーワンです.コアなオマージュ元とカジュアルなオマージュ元のバランスがgood.

次に映像.僕は普段「高予算映画なら映像が美しくて当然」っていう生意気なこと抜かすクソ野郎で,映像に関してあまり心から感動する人間ではない.そんな自分が映像に素直に感服しているのは,レディプレイヤーワンという映画の世界観を壊さずに他のコンテンツのキャラクターをバンバン出せているから.「そういう映画」というバイアスがかかった状態で視聴したのもそう思えた要因の一つかもしれないが,映像の作り方のほうがより大きな要因と思う.Oasis(レディプレイヤーワン世界で大流行しているVRゲーム)内の色調でオマージュされたキャラクターが描かれている.その点で僕は作り込み方がいいなーって思った.そしてこの手法はとてもゲーム的なんですよ!PSO2みたいなキャラクターのビジュアルを変更できて,なおかつビジュアルがウリのゲームがあるじゃないですか(Oasisもそれじゃん).あの手のゲームは流行りのアニメだったり,同社の別ゲーとコラボしてそれらと関連したキャラスキンやペットみたいなのが実装されたりしますよね.そしてコラボしたキャラを見たときに「あっこれ(キャラの名前)じゃん」とコラボ先を認知できると共に,「PSO2に○○コラボ来てたのかー」とキャラを描いているゲームの存在も認知できる.

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それと同じことがレディプレイヤーワンを銀幕で観ている僕らの目の前で起こっていた訳ですよ.なんてゲームにリスペクトした映画なのだろう!!

 

 あとこの映画のメッセージとして「モニターだけじゃなく現実とも向き合えよ」的なすごくまともなことを突き付けてくるんですよね.でもそれってどうなんだろう.とても健全なメッセージだなって思ったけど,そのメッセージを突き付けてくる人達って,現実を生きててつらくない人達ですよね.この映画の監督や脚本家なんて絶対生活に困ってないじゃないですか.しかもこんな作品を世に送り出して,自尊心満たしまくりですよ.さらにさらに,実際にメッセージを突き付けてくる映画のキャラクターは一生生活にも困らないし,恋人もいる.僕たちは何をやっても現実に打ちひしがれるのに,そんな奴らに居場所を奪われたくないよね.

 そして何故見出し文のような感想を抱いたかというと,日本発コンテンツのオマージュが本作にたくさん出てくるから.母国語で直接消費し思い出補正もかかったコンテンツが,莫大な予算が投入された映画に登場して嬉しく思わないオタク気質の人間がいるだろうか.本作を観て最初は,豊かな国産コンテンツに恵まれて嬉しかったー,日本で生まれて良かったーとか思った.だが少し冷静になったときに「なぜ日本からこのような映画が生まれなかったのか」という考えで上塗りされた.コンテンツ大国の担い手(この記事を書いてる間にどうやら僕らはそれになったらしい)の僕らが,海外の「日本のことマジリスペクトしてるっす」みたいな映画観るだけで僕らは満足してていいのだろうかなと.版権の問題だったり,カリスマ性のある監督がいないやら,政治的なキャスティングになってしまうやら問題だらけだが,日本のコンテンツパワーを前面に出した国産の映像作品を観たいなーって思った.あと映画サークルに入った以上自分で作品作ってみてから,色々生意気な感想を書き殴らないと部員の人らに示しがつかないな~ってとこまで意識を高めれたので今日はここまで.

 

VA-11 Hall-A語り

 ブログという空間は自分語りをする隙だらけだ.そのため自分語りで当ブログ最初の記事を飾ろうと思った.しかし自分語りで始まるブログはありきたりだし,世の中のほとんどの人間は自分に興味がないことはわかっている.そこで世の中の人々はまだ自分よりは「VA-11 Hall-A」というゲームについて興味や関心を持っていると考えた.というか前置きはどうでもよく「VA-11 Hall-A」について語らせてほしい.ゲームシステム,世界観の魅せ方,キャラクター,その他の諸々をこの記事では語ろうと思う.もちろん中立の立場ではなくガンガンこの作品を推していく.

 

 最初に,「VA-11 Hall-A」(以下ヴァルハラ)はどのようなゲームかと聞かれたら「それは Cyberpunk Bartender Actionです」と答える.その情報だけで楽しそうと思った人は即買いしてくれれば良いし,それだけではどういうゲームかわからないから,もう少し詳しく教えて欲しいよという人には「ディストピアな近未来でバーテンダーとなり,セリフ等ではなく客に提供するカクテルを選んで作るADVだよ」と答える.システムとして斬新だし(僕はADVに詳しくないためそう思った),プレイヤーが受動的になりがちなADVにおいてプレイヤーの手が動くはいいと思った.しかしそれだけではなくプレイヤーが作ったカクテルによってエンディングが左右される点が最高に面白いと思う(逆説的に考えれば当たり前だが).主人公(ジル)は毎日の仕事始めに「一日を変え,一生を変えるカクテルを」と言う.

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もっともルーティンとなっているだけなので本人は深くそのことに対して考えていない.しかし実際にプレイヤーと同化しカクテルを提供することによってキャラクター達の行く末を変えることになる.ゲーム内で起こる現象ではなく,ゲームの構造によって「一日を変え,一生を変えるカクテルを」という発言を成就させている点が面白い.

 

 世界観はスチームパンクディストピアな近未来である.そのような腐敗した世界の中で癒やしを求めてVA-11 Hall-Aというバーに様々な客が訪れている.スチームパンク×ディストピアは大好きだが,ありきたりな食べ合わせであるし,作中で明かされるアンドロイドとの共存や政府の腐敗といった要素も真新しいものではない.しかしそれらの世界観の感じさせ方,魅せ方が秀逸なのだ.主人公たちが閉塞感を抱えた世界に住んでいることはゲーム起動時のイントロダクションを除いて,ゲーム側から直接語られることはない(記憶の限りは).

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訪れる客との話や作中のメディアを通してのみ僕たちプレイヤーはジル達の住む特異な世界に思いを馳せることができるのだ.好みは分かれるとは思うが,自分はプレイヤーがゲーム内の世界に関して好きに夢想できるこの魅せ方が大好きだ.

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 そして世界を彩り,世界観の伝道師でもあるキャラクター達は魅力に満ち溢れている.主人公のジルは女性のバーテンダーである.学がありオタク気質であるため,客が振った話に的確に返すだけでなく一人で掘り下げすぎたりもする.また同性愛者でありそのことがストーリーにも関わってくる.(ただしこの作品は百合成分が濃厚な訳ではないので,それ目当てにプレイをするのはお勧めしない.)あとカワイイ.

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こんな感じで主人公をえらく面白みも感じさせずに紹介してしまった.まぁジルは単体で面白いキャラクターではなく,他のキャラクターとの化学反応で面白くなるキャラクターなので許してほしい.ここから懇切丁寧に主要キャラクターを紹介することを想像しただけで,体育会系の飲み会の後始末をすることよりもダルさを覚えたのでここからは軽く紹介していく.日本のサブカルに妙に詳しいバーのボスや巨乳凄腕ハッカー,隻眼猫耳っ娘,脳みそ,カクテルを飲んで一言「オーガズムに達したふりをしたことはあるか?」と聞いてくる感じの悪い男.一癖も二癖もあるキャラクターばかりだ.そして僕が一番好きなドロシー.ドロシーはリリムと言われるアンドロイドである.カワイイ.少女チックな外見をしているが,セックスワーカーだ.いわゆるセクサロイドである.ヴァルハラにおいては彼女の「客」の話をしてくれる.バットの芯でボールを捉えた時や,チューペットを綺麗に二つに折った時の清々しさを覚える,ド直球な下ネタを披露してくれる.それだけを聞くと擦れたリリムにような印象を持ちがちだが,実際は感情豊かでグルグル目になったり涙を滝のように流してわんわん泣く.ノンアルコールのカクテルを頼んだりもする.……可愛い.このままだとドロシーの事ばかりに語りそうなので,キャラクターの紹介に関してはここまでにしておく.

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 音楽に関しては試しに聴いてみてくれたほうが早いと思う.

open.spotify.com

音楽のジャンルに関しては明るくないのだが,シンセを使ってレトロな印象を持たせつつも古臭くなりすぎないような気遣いを感じる.ぼくはめっちゃすき.あとはドロシーに限らず,会話の中で全体的に下ネタが多いので苦手な人は要注意.ただ,下ネタも多いがヴァルハラにおいて話題に上るテーマは非常に多い.ポルノ,精神と肉体,ジェンダー,etc.そしてその中には僕たちが近い将来考えなければならないことも含まれている.ほとんどの人にとって斬新なゲームなだけで終わらないと僕は思う.

「VA-11 Hall-A」は僕にとって完全に新しい体験であった.プレイ後に作中のオマージュの元ネタを探すのもよし,会話で出てきたあらゆるテーマについて考えてみるのもよし,ドロシーという存在が男尊女卑チックだから許せないとブログに10,000文字以上の記事を載せるのもよし.

一日を変え,一生を変えるかもしれない「VA-11 Hall-A」をプレイしてみませんか?