は?ザクレロかっこええやろ

通学時間が暇すぎて

VA-11 Hall-A語り

 ブログという空間は自分語りをする隙だらけだ.そのため自分語りで当ブログ最初の記事を飾ろうと思った.しかし自分語りで始まるブログはありきたりだし,世の中のほとんどの人間は自分に興味がないことはわかっている.そこで世の中の人々はまだ自分よりは「VA-11 Hall-A」というゲームについて興味や関心を持っていると考えた.というか前置きはどうでもよく「VA-11 Hall-A」について語らせてほしい.ゲームシステム,世界観の魅せ方,キャラクター,その他の諸々をこの記事では語ろうと思う.もちろん中立の立場ではなくガンガンこの作品を推していく.

 

 最初に,「VA-11 Hall-A」(以下ヴァルハラ)はどのようなゲームかと聞かれたら「それは Cyberpunk Bartender Actionです」と答える.その情報だけで楽しそうと思った人は即買いしてくれれば良いし,それだけではどういうゲームかわからないから,もう少し詳しく教えて欲しいよという人には「ディストピアな近未来でバーテンダーとなり,セリフ等ではなく客に提供するカクテルを選んで作るADVだよ」と答える.システムとして斬新だし(僕はADVに詳しくないためそう思った),プレイヤーが受動的になりがちなADVにおいてプレイヤーの手が動くはいいと思った.しかしそれだけではなくプレイヤーが作ったカクテルによってエンディングが左右される点が最高に面白いと思う(逆説的に考えれば当たり前だが).主人公(ジル)は毎日の仕事始めに「一日を変え,一生を変えるカクテルを」と言う.

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もっともルーティンとなっているだけなので本人は深くそのことに対して考えていない.しかし実際にプレイヤーと同化しカクテルを提供することによってキャラクター達の行く末を変えることになる.ゲーム内で起こる現象ではなく,ゲームの構造によって「一日を変え,一生を変えるカクテルを」という発言を成就させている点が面白い.

 

 世界観はスチームパンクディストピアな近未来である.そのような腐敗した世界の中で癒やしを求めてVA-11 Hall-Aというバーに様々な客が訪れている.スチームパンク×ディストピアは大好きだが,ありきたりな食べ合わせであるし,作中で明かされるアンドロイドとの共存や政府の腐敗といった要素も真新しいものではない.しかしそれらの世界観の感じさせ方,魅せ方が秀逸なのだ.主人公たちが閉塞感を抱えた世界に住んでいることはゲーム起動時のイントロダクションを除いて,ゲーム側から直接語られることはない(記憶の限りは).

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訪れる客との話や作中のメディアを通してのみ僕たちプレイヤーはジル達の住む特異な世界に思いを馳せることができるのだ.好みは分かれるとは思うが,自分はプレイヤーがゲーム内の世界に関して好きに夢想できるこの魅せ方が大好きだ.

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 そして世界を彩り,世界観の伝道師でもあるキャラクター達は魅力に満ち溢れている.主人公のジルは女性のバーテンダーである.学がありオタク気質であるため,客が振った話に的確に返すだけでなく一人で掘り下げすぎたりもする.また同性愛者でありそのことがストーリーにも関わってくる.(ただしこの作品は百合成分が濃厚な訳ではないので,それ目当てにプレイをするのはお勧めしない.)あとカワイイ.

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こんな感じで主人公をえらく面白みも感じさせずに紹介してしまった.まぁジルは単体で面白いキャラクターではなく,他のキャラクターとの化学反応で面白くなるキャラクターなので許してほしい.ここから懇切丁寧に主要キャラクターを紹介することを想像しただけで,体育会系の飲み会の後始末をすることよりもダルさを覚えたのでここからは軽く紹介していく.日本のサブカルに妙に詳しいバーのボスや巨乳凄腕ハッカー,隻眼猫耳っ娘,脳みそ,カクテルを飲んで一言「オーガズムに達したふりをしたことはあるか?」と聞いてくる感じの悪い男.一癖も二癖もあるキャラクターばかりだ.そして僕が一番好きなドロシー.ドロシーはリリムと言われるアンドロイドである.カワイイ.少女チックな外見をしているが,セックスワーカーだ.いわゆるセクサロイドである.ヴァルハラにおいては彼女の「客」の話をしてくれる.バットの芯でボールを捉えた時や,チューペットを綺麗に二つに折った時の清々しさを覚える,ド直球な下ネタを披露してくれる.それだけを聞くと擦れたリリムにような印象を持ちがちだが,実際は感情豊かでグルグル目になったり涙を滝のように流してわんわん泣く.ノンアルコールのカクテルを頼んだりもする.……可愛い.このままだとドロシーの事ばかりに語りそうなので,キャラクターの紹介に関してはここまでにしておく.

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 音楽に関しては試しに聴いてみてくれたほうが早いと思う.

open.spotify.com

音楽のジャンルに関しては明るくないのだが,シンセを使ってレトロな印象を持たせつつも古臭くなりすぎないような気遣いを感じる.ぼくはめっちゃすき.あとはドロシーに限らず,会話の中で全体的に下ネタが多いので苦手な人は要注意.ただ,下ネタも多いがヴァルハラにおいて話題に上るテーマは非常に多い.ポルノ,精神と肉体,ジェンダー,etc.そしてその中には僕たちが近い将来考えなければならないことも含まれている.ほとんどの人にとって斬新なゲームなだけで終わらないと僕は思う.

「VA-11 Hall-A」は僕にとって完全に新しい体験であった.プレイ後に作中のオマージュの元ネタを探すのもよし,会話で出てきたあらゆるテーマについて考えてみるのもよし,ドロシーという存在が男尊女卑チックだから許せないとブログに10,000文字以上の記事を載せるのもよし.

一日を変え,一生を変えるかもしれない「VA-11 Hall-A」をプレイしてみませんか?